農業応援隊様からの取材執筆のご依頼を受け、株式会社坂ノ途中の小野代表を取材させていただきました。環境負荷の少ない持続可能な農業を目指す「坂ノ途中」様はオーガニック野菜の販売をしている会社です。京都で創業し11年を迎えられました。「100年先も続く農業を」という理念を掲げ、三人で起業した会社は、今では総勢100人の企業に成長しています。
京都大学出身の小野邦彦社長率いる農業ベンチャー企業、キラッキラの若者が大勢いるのだろうか・・と、少し緊張気味に坂ノ途中本社を訪ねました。
会社の1階は野菜の出荷場です。1階で小野社長へのアポイントを告げると、若い女性が2階の会議室へ案内してくれました。2階ではバイヤーの会議が終わったところだそうで、ノートパソコンを手にした若者10人くらいがバタバタと階段を降りていきます。スーツ姿は皆無、ポロシャツにチノパンというような服装です。なんとなく大学生のような雰囲気で、皆さん穏やかに談笑しながら遠ざかっていきます。そこにおられた小野代表も綿素材のゆったりしたシャツに紺のパンツというラフな服装です。ラフといってもオシャレで清潔感があり、端正な顔立ちにとても似合っています。
取材内容の趣旨を伝えインタビューを始めました。小野代表はまるでPC画面を読んでいるかのように、会社の理念や現状、現在行っているプロジェクトの概要や目的について、無駄のない的確な表現でよどみなく淡々と語られます。
坂ノ途中様が行っている事業は、有機野菜の個人宅配に加え、卸や小売り、レストランや自社農園の運営、有機農産物の生産者とバイヤーをつなぐマッチングサイトの運営、発展途上国での有機農業の普及など、恐ろしく幅広いものです。上場するための準備もしているという敏腕経営者、ですが小野代表にはギラギラとした雰囲気はみじんもありません。
農業のあり方を変えるという揺るぎない志、圧倒的な知識と行動力。1時間近くお話しを聞きながら、私は平常心を保つのに大変でした。小野氏の思想の深さに驚き、感銘し、頭の中はぐるぐると同じ言葉が巡っていました。つまり「なに?なに?この人、凄すぎる!!!!」と。
小野氏はご自身が語ったことを、間違った解釈で書かれたり、脚色したり、大げさに表現されることをとても警戒されていました。
それで私は、お聴きしたこと事実だけを忠実に、淡々と静かな文体で書こうと堅く決意して会社を後にしました。
(一社)農商工連携推進協議会様が発行する情報誌「農業応援隊Vo.29」10月1日発行
目次はこちらから→https://nougyououentai.co.jp/vol29/